SNSは企業のPRや広報活動に役立つ、便利なツールです。しかし、何かのきっかけで問題が発覚し、SNS上で炎上すると、大きなイメージダウンにつながることもあります。一度SNS上で拡散されると対策は難しくなるため、あらかじめ炎上しない対策を練っておくことが大切です。
そこで本記事では、企業のSNSを炎上させないために担当者ができる対策について解説します。あわせて、企業のSNS炎上事例もなども紹介します。
目次
企業のSNS(Instagram・Twitter)炎上事例
企業のSNSの炎上を防ぐためには、過去実際に起きた企業の炎上事例も押さえておくことが大切です。
ここでは、実際にあった企業におけるSNS炎上事例をまとめました。
1. 旅行サイトの誤投稿
旅行サイトが公式Twitter内で、突然女性シンガーソングライターを名指しで「ブサイク」と侮辱するツイートを投稿しました。すぐにツイートは削除されたものの、投稿を見たファンらの批判が殺到し、炎上騒ぎとなった例です。
企業側はすぐに謝罪しましたが、原因は不明として経緯については語っていません。
社員が公式Twitterとプライベートのアカウントを間違えて投稿したことが原因と考えられるものの、企業としては本来あってはならないミスといえるでしょう。
2. アミューズメントパークの不適切発言
長崎に原爆投下された8月9日、アミューズメントパークの公式Twitterで「なんでもない日おめでとう」という不適切な投稿があったことから、炎上騒ぎになりました。
投稿直後から多数の批判が殺到し、アミューズメントパーク側はすぐに投稿の削除と謝罪をおこないました。
3. 不動産仲介会社の顧客情報流出
不動産仲介会社の社員が自身のTwitterアカウントで芸能人夫妻に接客をおこなった旨の投稿をおこない、炎上騒ぎになりました。
投稿内容はすぐに削除されたものの、情報が拡散されたことで、社員の勤務先や本名、夫妻に仲介した物件などが特定されるまでに至っています。その後、不動産仲介会社は顧客情報の流出について謝罪しました。
4. カップ焼きそばの異物混入
カップ焼きそばにゴキブリが混入していたことを写真付きで投稿します。
その後、カップ焼きそばの食品メーカーが男性のもとを訪れ、買取をする代わりに該当投稿を削除してほしいと依頼しました。また、原因を特定できていない状況にも関わらず「製造過程での異物混入はあり得ない」と主張します。
しかし、同食品メーカーの主張とは異なり、保健所の調査では製造過程での異物混入は否定できないことが発表されます。それにより、メディアも巻き込んだ大炎上へと発展しました。
その後、同食品メーカーは一定期間の操業停止、商品の回収などの対応を行うことになります。結果として、メーカーの損失は数十億円にものぼったといわれています。
SNS炎上が企業活動に与える悪影響
SNSアカウントが炎上してしまった際、企業活動に与えられる悪影響には以下のようなことが考えられます。
- 企業のイメージダウン
- 株価の下落
- 得意先や顧客離れによる業績の悪化
- 新規ビジネスチャンスの喪失
- 人材流出や採用活動への影響
SNSでは個人が自由な投稿ができるため、企業への批判や誹謗は拡散されやすいものです。過去の事例をみてもわかるとおり、最初の段階できちんと対処し鎮火させないと問題が大きくなる傾向があります。
SNSの炎上を軽くみていると経営に深刻な被害をもたらすこともあるため、事前に対策や事後の対応を検討しておくことが大切です。
企業のSNS炎上が起きる主な原因は?
ここでは企業のSNS炎上が起きる主な原因は以下のとおりです。
- 不適切な発言や行為
- クレームや批判
- 商品やサービスの過失
- 不祥事・スキャンダル
- 誤った情報の掲載
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。炎上する原因について知り、事前対策につなげましょう。
1. 不適切な発言や行為
炎上事例からもわかるとおり、もっとも炎上の原因となりやすいのはSNSで発信される社員や企業の不適切な発言や行為です。
読む人がどのようにとらえるか分からない投稿や担当者個人の偏見が入った投稿は、不適切な内容として炎上につながる可能性があります。なかでも人種や性別、宗教などセンシティブな内容への発言は炎上しやすい傾向があるため、細心の注意を払わなければなりません。
SNSはさまざまな立場の人が見ていることを考慮し、投稿に対して傷つく人がいないかどうか検討してから発信すべきです。
2. クレームや批判
企業へのクレームや批判から大きな炎上騒ぎになるケースもあります。
以前は商品や企業に対するクレーム・批判は、企業へ直接電話やメールをするか、消費者センターなどに問い合わせるのが一般的でした。
しかし、最近ではクレームや批判もSNSなどのネットを通しておこなわれる例も多くあります。
とくにSNSは不特定多数の人が閲覧できるツールです。クレームや批判は賛同者を集めやすく、大きな炎上騒ぎにつながるケースがあります。
3. 商品やサービスの過失
商品やサービスの過失も企業がSNS炎上しやすい原因のひとつです。
提供している商品やサービスに重大な過失があった場合、ユーザーのSNS投稿から賛同者が集まることで、あっという間に炎上しかねません。
また、重大な過失に対して企業側がとる行動や発言もSNS上で拡散されやすいため、細心の注意を払って対応する必要があります。
4. 不祥事やスキャンダル
不祥事やスキャンダルもSNS炎上する原因です。実際、飲食店の従業員が業務中の悪ふざけについて投稿し、顧客の信頼を失うという事件も起きています。
不祥事やスキャンダルをすべて未然に防ぐことは難しいものの、企業側には従業員の意識向上や業務中のトラブル防止対策が求められています。
5. 誤った情報の投稿
誤った情報の投稿も炎上が起きる原因のひとつです。
企業によっては、SNSの運用に複数の社員が関わっているケースもあります。社員同士の伝達不足によって、誤った情報を投稿してしまうことも起こり得るのです。
商品やサービスに関する誤った情報や不適当な内容が投稿されると、炎上するだけでなく、顧客からの信用を失う原因にもなります。
大切な内容は投稿前にWチェックをするなど、情報を精査する体制を整えましょう。
企業のSNS担当が行うべき炎上対策
炎上後の対応はもちろんのこと、炎上しないための対策も重要です。
ここでは、企業のSNS担当者がおこなうべき炎上対策を5つ紹介します。
1. ソーシャルメディアのガイドラインを作っておく
企業の公式SNSアカウントをつくるときは、利用に関するポリシーやルールを決めたソーシャルメディアのガイドラインを作っておきましょう。企業理念に基づき、これから展開する新商品やサービス、個人情報の取り扱いなどを細かく設定しておくのがおすすめです。
ガイドラインが完成したら、SNSの担当者はもちろん、直接関わらない社員にも共有しましょう。企業のSNSは担当者以外の社員も見る機会が多いため、ガイドラインを周知することによって、速やかな問題発覚につながる可能性があります。
自社のソーシャルメディアのガイドラインを公式サイトで公開している大手企業もあります。ソーシャルメディアのガイドラインを公開することにより、ルールをはっきり明示できる点が大きなメリットです。
また、自社が「顧客やユーザーにとって信用に足る企業である」とアピールすることもできます。
2. SNSの運用ルールを決めておく
炎上を防ぐ対策として、公式アカウントの運用ルールを決めておくことも重要です。
投稿や情報発信は誰がおこない、チェックするのか、アカウントのログイン情報やパスワードの管理方法などをきちんと決めておきましょう。
また、SNSを担当する社員には会社のイメージに合わせて発信できるよう、発信者のキャラクターを設定しておくことも大切です。
キャラクターの設定が共有されることにより、担当者全員で安定してSNSを運営できるようになります。言葉の使い方など、細かな部分の調整もしやすくなるでしょう。
3. モニタリングの仕組みを作る
企業アカウントの炎上を防止する対策として、モニタリングの仕組みを作ることも有効です。
モニタリングでは、ネット上をパトロールすることによって、公式サイトでの自社社員の発信だけでなく、ユーザーのコメントなども調査します。定期にモニタリングを実施すれば、炎上の兆しを発見して対策を取りやすくなるでしょう。
なお、モニタリングは外部の業者に委託することも可能です。
4. トレンドや時流をチェックする
企業のSNS炎上を防ぐためには、トレンドや時流を押さえておくことも重要です。
とくにジェンダーやLGBTQなど、話題になりやすい社会課題に不用意に触れると炎上を起こしやすい傾向にあります。
世の中の些細な動きや価値観の変化を察知できるよう、常に情報収集に努めましょう。
5. 炎上対策を研修で実施する
ソーシャルメディアに関するガイドラインを社員全員で確認した上で、さらなる炎上対策のために定期的に研修や勉強会を開くことも大切です。
SNSの炎上はいつ起こるかわかりません。事前の防止策や、実際に起こってしまった後の対応について、社員全員で理解しておく必要があります。
企業のSNSでは、社員1人の不適切な発言や行為が原因となって炎上に発展するケースが少なくありません。実際の炎上事例を紹介し、危険性についても周知すべきです。
企業のSNSが炎上する原因を知り、対策しておきましょう
SNSは拡散力が高いため、一度炎上すると対応に追われることになります。場合によっては、企業のイメージダウンや株価の下落、顧客離れなど、大きな損失につながるかもしれません。
企業でSNSを運営する際は、過去の炎上事例から学び、SNSに関するルールを細かく決めておくことが重要です。企業のSNSアカウントの運用に関わる担当者はもちろん、社員全員でSNSの炎上防止対策や対処法を共有しておきましょう。